Final Cutでズームできない原因は手ぶれ補正だった

手持ちで撮ったブレの多い映像に手ぶれ補正をかける。そのあと被写体をアップにしようとズームしたら、2倍あたりで画面がカクついた。10倍まで上げたのに、実際は5倍くらいで止まる。そんな場面で困っている人向けの記事です。

ズームが効かないのは設定ミスだと思いがちですが、実は違います。多くの場合、手ぶれ補正がオンになっていることが原因になる。ここでは、そのカクつきと倍率の頭打ちを直す手順をまとめました。

やることはシンプルで、順番が大事です。どこをいじればいいか、順番に見ていきます。

手ぶれ補正の自動クロップとズームがぶつかっている

まず結論から言います。カクつきの正体は、手ぶれ補正とズームの競合です。

手ぶれ補正は、画面のブレを隠すために映像を自動で少し拡大しています。これを自動クロップ(自動で外側を切り取って拡大する処理)と呼ぶ。つまり補正をかけた時点で、映像はもう拡大された状態になっている。カメラがブレて動いた分、外側に余白を作らないと画面のフチが見えてしまうからです。

その状態に手動ズームを重ねると、拡大が二重になります。ソフトの中では拡大の計算が積み重なり、途中で限界に達する。だから2倍あたりで挙動が不安定になり、映像がカクつくわけです。手ぶれの動きに合わせて映像の位置も毎フレーム動いているので、そこにズームが乗ると処理がさらに重くなる。

10倍に設定しても5倍ほどで止まるのも、同じ理由になる。補正ですでに使った拡大の分、手動ズームで使える余地が減っているからです。設定した数字がそのまま反映されないのは、バグではなく仕組みの話でした。ここを分かっておくと、次の対処がすっと入ってきます。

複合クリップで補正を固定してからズームする

いちばん効くのは、補正を先に確定させる方法です。手ぶれ補正の結果を一度「焼き付け」てから、あらためてズームをかける。こうすると二重計算がなくなり、競合が消えます。

使うのは複合クリップ(複数の要素を1つにまとめたクリップ)です。手順はこうなる。

  • 手ぶれ補正を適用したクリップを右クリックする
  • メニューから「新規複合クリップ」を選んで作成する
  • できた複合クリップに対して、あらためてズーム(変形)をかける

複合クリップにすると、補正の計算がいったん確定します。その状態は、ズームから見れば普通の映像と同じになる。だから手動ズームが素直に効くようになり、10倍なら10倍まで届きやすくなります。カクつきも落ち着くはずです。

ただし、複合クリップにしたあとで補正を直したくなったら、ダブルクリックで中に入って調整する必要があります。あとから何度もいじる予定なら、補正の強さを先に詰めておくと二度手間になりにくい。

SmoothCamとインスペクタのパラメータでカクつきを減らす

複合クリップでも直りきらないときは、補正そのものを弱めます。インスペクタ(右側の設定パネル)でいじる場所は決まっている。

  • インスペクタの「手ぶれ補正」を開き、「方法」を「SmoothCam」に変える
  • 「変換」「回転」「調整」のスライダーを少しずつ下げる
  • 3つの項目を1つずつオフにして、どれがカクつきの原因か特定する

「方法」には自動、InertiaCam、SmoothCamがあります。個人的には、細かく手で詰めたいときはSmoothCamが扱いやすいと感じる。InertiaCamはパン(横に振る動き)を残したいとき向けで、味付けが違うからです。

補正を弱めると自動クロップの拡大も小さくなります。その分、手動ズームに使える余地が生まれる。ここでのコツは、「変換」「回転」「調整」を全部いっぺんに下げないことです。3つを1つずつオフにして映像を見ると、カクつく軸が見えてくる。回転だけ切ったら安定した、というふうに原因の軸が絞れれば、そこを重点的に下げればいい。

補正の前にやると楽になる下ごしらえ

ここまでは補正のあとの話でした。一方で、順番を変えるだけで詰まらなくなる場面もあります。

よくある失敗は、長いクリップ全体に強い補正をかけてしまうことです。そのあと一部だけをアップにしようとすると、拡大が重なって止まる。全体に強くかけた補正が、部分ズームの足を引っ張るわけです。ブレていない場所にまで補正の拡大がかかっているので、無駄に余地を食っている。

そもそも、補正が必要なのはブレのひどい一部だけのことが多い。だから補正の前に、必要な場所でクリップをカット(分割)しておく。ショートカットの「B」でブレードを使うと、その場でクリップを切れます。ズームしたい区間と補正したい区間を切り分けておけば、競合しにくくなる。

もう1つ確認したいのが三脚モードです。これがオンだと、映像をガッチリ固定しようとしてズームの動きを縛る場合があります。ズームが変に止まるときは、手ぶれ補正の中の三脚モードがオンになっていないか見ておくといい。オフに戻すだけで動きが素直になることもある。

まとめ

迷ったときのために、動く順番だけ置いておきます。

  • 結論:カクつきと倍率の頭打ちは、手ぶれ補正の自動クロップと手動ズームの競合が主な原因です
  • 次にやること:まず複合クリップで補正を固定し、そのあとにズームをかけ直す
  • 次にやること:直らなければインスペクタでSmoothCamにして「変換」「回転」「調整」を少しずつ下げる
  • 覚えておくこと:補正は先、ズームは後。強い補正を全体にかけてから一部だけ拡大しない

複合クリップで補正を固定し、SmoothCamで「変換」「回転」「調整」を絞れば、自動クロップとズームの競合はかなり落ち着きます。

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